フィヨルドランドペンギン
見分けるのが難しいマカロニペンギン属の中でも、頬に特徴的な白い模様があるフィヨルドランドペンギンは見分けるのが容易です。
基本データ
■フィヨルドランドペンギンの容姿■
By travelwayoflife - https://www.flickr.comimgphotosimgtravelwayoflifeimg7169122386imginimgphotolist-qvFNYC-7bnwq7-7biJjn-qqcaSQ-q8G8pd-ptuVAP-bVvBro-5YLUAg-e1hLks-pTKGxz-bVvCsA-bVvBPG-bVvC2A-bVvCjo-bVvC99-bVvBVj-iZtxop-bVvBHh-bVvBD7, CC BY-SA 2.0, https:/commons.wikimedia.orgimgwimgindex.php?curid=44942836
- 和名:フィヨルドランドペンギン(キマユペンギン)
- 学名:Eudyptes pachyrhynchus(エウディプテス パキリンクス)
- 属:マカロニペンギン属
- 亜種:なし
- 体長:55~60cm
- 体重:3.5~4.5kg
- 寿命:データなし
- 推定生息数:6000羽
- 平均遊泳速度:データなし
- 最深潜水記録:データなし
- 渡り:4~6月
- 産卵数:2卵
- 性成熟:4歳
- 主なコロニー:フィヨルドランド地方、スチュアート島
- 主な食べ物:頭足類、甲殻類
1年間の生活スケジュール
詳しい内容については「繁殖と子育て」の章で説明します。
名前の由来
名前の「フィヨルドランド」は生息地域のニュージーランド南東のフィヨルドランドに由来します。学名の「パキリンクス」は「分厚いくちばし」という意味です。ちなみに、スネアーズペンギンの方がフィヨルドランドペンギンよりもくちばしが太いです。
生息数の動向
正確な個体数は調査されていませんが、安定的に維持されていると考えられています。
生息地
ニュージーランド南東のフィヨルドランド地方と周辺の南緯43~46°の島々で暮らしています。
■フィヨルドランドペンギンの生息地■
ヒナ
ヒナは頭から背中にかけて非常に濃い灰色、胸から腹にかけて白色の綿羽に覆われています。
巣立ちを迎えた亜成鳥は大人とほぼ同じ見た目になりますが、飾り羽は小さく、特徴的な頬の白い模様もはっきりとしません。
潜水と採餌
潜水に関する詳細な調査は行われていません。1羽から数羽の小さい群れを作り、沖合10キロ程度の範囲で採餌をすると考えられています。
繁殖と子育て
コロニーへの帰還
6月下旬から7月上旬にオスが先にコロニーに帰還します。メスの帰還はそのすぐ後です。昨年のつがいと合流するか、新しいパートナーを見つけると巣作りを始めます。
つがいの絆
つがいの結びつきは長年にわたって維持されます。
営巣
営巣地は海岸から近く植物が密集した湿気の多い場所が好まれます。巣作りはオスの仕事で、木の洞や倒木の陰など隠れられる場所に作ることが多いです。巣材には植物の葉や小石などが使用されます。なお、昨年と同じつがいで営巣する際は、巣も昨年と同じ巣を使用します。
産卵と抱卵
メスは8月になると数日おきに2つの卵を産みます。2つ目の卵は1つ目に比べて2割ほど大きい傾向にあります。コロニーへの帰還から産卵までは絶食で過ごします。
卵の孵化に要する35日ほどの間、両親は交代して卵を温めます。先に抱卵するはオスの仕事で、メスは2週間ほどの採餌に出かけ、30日ほどの絶食を終わらせます。メスが帰ると、今度はオスが採餌に出かけ、45日ほどに及ぶ絶食を終わらせます。
孵化と保護期
35日ほどで卵か孵ると、ヒナは2週間ほどオスの保護下で、天敵や体温の低下から守られて育ちます。この間オスは絶食状態で、ヒナへの給餌はメスが行います。両親は2つの卵から帰った両方のヒナを育てようとしますが、1つ目の卵から生まれるヒナは2日ほどで死んでしまうのが大半で、2羽とも巣立つことはないと考えられています。
クレイシ期
孵化後3週間ほど経つと、ヒナは親が抱けないほど成長し、クレイシに加わります。ヒナの旺盛な食欲に応えるため、両親は同時に採餌へ出かけるようになり、ヒナは両親の帰りを待ち続けます。ある程度育ち、巣立ちの時期が近づくと、ヒナはクレイシを抜けて一人で親を待つようになったり、海に入る練習を始めます。
巣立ち
ヒナは孵化後75日ほどで巣立ちます。
フィヨルドランドペンギンの繁殖成功率は2組のつがいの内1組が1羽巣立たせる程度です。
換羽
ヒナが巣立つと2~3ヶ月にも及ぶ換羽前の採餌旅行に出かけます。換羽は2月頃に3週間ほどかけて行い、その間に体重は半減します。多くの個体は巣の場所で換羽を行いますが、若鳥はコロニーの周辺部や海岸の岩場など、大人とは別の場所で換羽します。
快適な暮らし?
フィヨルドランドペンギンの暮らす地域には、地上に天敵がいないと考えられています。上空から狙う大型の鳥類も、植生が密集した地に巣を構えるペンギンを見つけることはできません。海で脅威となるオットセイなどの海獣も、理由は不明ですがフィヨルドランドペンギンを食べることは稀なようです。これらに加え、生息地の周辺海域はエサとなる魚類が豊富で、遠方まで泳ぐ必要もありません。このようにフィヨルドランドペンギンは非常に恵まれた環境で暮らしているのです。