ガラパゴスペンギン

氷と雪に覆われた寒い世界で暮らすペンギンのイメージとは正反対に赤道直下の熱帯地域で暮らしています。

基本データ

■ガラパゴスペンギンの容姿■

ガラパゴスペンギンの写真

By MasterfulNerd - Own work, CC BY-SA 4.0, https:/commons.wikimedia.orgimgimgclassificationwimgimgclassificationindex.php?curid=107526896

  • 和名:ガラパゴスペンギン
  • 学名:Spheniscus mendiculus(スフェニスクス メンディクルス)
  • 属:フンボルトペンギン属
  • 亜種:なし
  • 体長:47~54cm
  • 体重:2~2.5kg
  • 寿命:10年
  • 推定生息数:1000~1500羽
  • 平均遊泳速度:データなし
  • 最深潜水記録:52m
  • 渡り:なし
  • 産卵数:2卵
  • 性成熟:3歳
  • 主なコロニー:ガラパゴス諸島のイサベラ島とフェルディナンド島
  • 主な食べ物:ボラ、イワシ

1年間の生活スケジュール

詳しい内容については「繁殖と子育て」の章で説明します。

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名前の由来

名前の「ガラパゴス」はガラパゴス諸島の固有種であることに由来します。学名の「メンディクルス」は「物乞いのような」という意味で、フンボルトペンギン属で最も小型(※1)であることに由来します。

※1:全てのペンギンの中でも3番目に小さいです。

生息数の動向

生息数は全てのペンギンの中で最小で限りなく絶滅に近く、数十万羽程度まで個体数が回復することは不可能とも言われています。

生息地

赤道直下のガラパゴス諸島で暮らしています。最も北で暮らすペンギンで、生息域のイザベラ島は一部が赤道をまたぎ北半球に突き出ているため、唯一北半球で暮らすペンギンとも言えます。

ガラパゴスペンギンが赤道直下で暮らせるのは、ガラパゴス諸島に流れ着くフンボルト海流とクロムウェル海流がエサとなる魚を豊富に運んでくれるおかげです。ただし、彼らの生活は2つの海流に完全に依存しているため、エルニーニョ現象により海水温が上昇すると、ガラパゴス諸島近海からエサとなる魚がほとんどいなくなり、まったく繁殖が成功しなくなるほど致命的なダメージを受けてしまいます。1983年のエルニーニョでは77%のガラパゴスペンギンが死亡したと推定されています。

■ガラパゴスペンギンの生息地■

ガラパゴスペンギンの生息地

ヒナ

ヒナは頭から背中にかけて茶色、胸から腹にかけて白色の綿羽に覆われています。

巣立ちを迎えた亜成鳥は成長に似ていますが、頭に露出したピンク色の肌や、胸の黒いラインがないため、見分けるのは容易です。

■亜成鳥の容姿■

ガラパゴスペンギンの亜成鳥写真

By Diego Tirira from Quito, Ecuador - Spheniscus mendiculus DT [W I Isabela] 0801 (5), CC BY-SA 2.0, https:/commons.wikimedia.orgimgimgclassificationwimgimgclassificationindex.php?curid=129575008

潜水と採餌

定住性で毎晩巣に帰るため、コロニーの周辺1.6km程度の近海で採餌を行います。潜る深さも2.7m以下の浅い潜水がほとんどを占めています。

ガラパゴスペンギンがこれほど狭い海域のみを泳ぐ理由として、以下の2つが挙げられます。特にコロニーの規模が小さく、コロニー全体で必要な食料が少ないことも②の理由を後押ししていると言えます。

①近海の海域にはサメが非常に多く、それを避けているため。

②近海の海岸近くにイワシが豊富に生息しているため、遠方までエサを探しに移動する必要がないため。

繁殖と子育て

1年中繁殖可能

ガラパゴスペンギンには他のペンギンのような決まった繁殖期がなく、1年中繁殖する可能性があります。ただし、平均的な繁殖のピークは6~9月、12~3月と言われています。また、つがいの半数は年に2回繁殖を試みます。

コロニーへの帰還

定住性で年間を通してコロニーで暮らしています。そのため、個体によって求愛を開始する時期はバラバラです。

つがいの絆

つがいの結びつきは全てのペンギンの中で最も強く、一度つがいになると9割は毎年同じパートナーと繁殖を行います。ガラパゴスペンギンは非常に夫婦仲が良いペンギンと言えるのです。

営巣

巣は海岸近くの岩場の上に海藻や小枝を敷いて作るか、グアノ層に穴を掘って作ります。定住性のため、繁殖期間外でも巣の中やその周辺で暮らしています。

産卵と抱卵

メスは2つの卵を産みます。

卵の孵化に要する40日ほどの間、両親は1日おきに交代で卵を温めます。

孵化と保護期

40日ほどで卵が孵ると、ヒナは30~35日ほど親の保護下で、天敵や体温の変動から守られて育ちます。

30~35日が経過し、親の保護期が過ぎて、両親が同時に採餌に出かけるようになってもクレイシは作りません。ヒナは巣の近くで両親が帰ってきてエサをくれるのを待ち続けます。

巣立ち

ヒナは60~65日ほどで親とほぼ同じ大きさになり巣立ちます。ヒナの2年後の生存率は3割ほどと言われています。

ガラパゴスペンギンの繁殖成功率は高く、年2回の繁殖で産む4羽のヒナを全て巣立たせることも珍しくありません。これは生息地に天敵が少ないことや、ヒナに長時間羽繕いをするほど子育てに献身的なガラパゴスペンギンの性格が影響しているのかもしれません。

換羽

ガラパゴスペンギンはペンギンの中で唯一、年に2回換羽を行います。その理由は、赤道直下の強い陽射しと冷たい海水により、羽毛の痛むペースが早いためと考えられています。

換羽開始の明確な時期はなく、個体によって換羽開始時期はバラバラです、1年中いつでも換羽する可能性があります。換羽前には2~4週間の採餌旅行に出かけ、14日ほどかけて換羽を終わらせます。換羽により体重は1kgほど減少し、これは体重の30~40%に相当します。