ペンギンの属

ペンギンは遺伝的に近縁な6つのグループに分けられ、これを「属」という単位で呼びます。

このページでは属ごとに共通する見た目や特徴などを説明しています。

エンペラーペンギン属

属名の意味

属名はAptenodytes(アプテノディテス)で「翼のない潜水者」という意味があります。

所属する種

エンペラーペンギンとキングペンギンの2種が所属しています。

体の特徴

大きな体を持ち、頭の左右と胸元に鮮やか黄色の模様があります。脚の色は黒色です。

エンペラーペンギン属のペンギン

共通する生態

他のペンギンと比べて注意深くゆっくりと歩きます。氷や雪の上ではトボガンすべりも行います。

卵は1つだけ産み、巣は作らずに自分の脚の上に乗せます。

アデリーペンギン属

属名の意味

属名はPygoscelis(ピゴスケリス)で「尻についた肢」という意味があります。

所属する種

アデリーペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギンの3種が所属しています。

体の特徴

比較的大きな体を持ち、羽毛は黒と白のツートンカラーです。尾羽は歩く際に地面をひきずるほど長く、硬さもあるため体を支えるのに役立ています。

アデリーペンギン属のペンギン

共通する生態

3種が繁殖を共にする地域がほぼないためか、3種に共通する生態はほぼありません。

卵は2つ産み、産まれたヒナは2羽とも巣立たせようとします。巣は小石などを積み上げて作りますが、温暖な地域に住むジェンツーペンギンは巣穴を掘ります。

コガタペンギン属

属名の意味

属名はEudyptula(エウディプトゥラ)で「非常に小さい」という意味があります。

所属する種

コガタペンギン1種のみが所属します。

体の特徴

最小のペンギンで、他のペンギンと異なり青黒い羽毛に覆われています。歩く際に前傾姿勢となるのも特徴の一つです。

コガタペンギン属のペンギン

共通する生態

ペンギンの中で唯一夜行性です。昼間は海へ採餌に出かけ、陸で活動するのは夜のみです。

キガシランギン属

属名の意味

属名はMegadyptes(メガティプテス)で「大型の潜水者」という意味があります。

所属する種

キガシラペンギン1種のみが所属します。

体の特徴

大型で身長はエンペラーペンギンとキングペンギンに次いで3番目です。(※1)黄色い目と頭の黄色い羽毛が特徴的です。

キガシラペンギン属のペンギン

※1:体長は尾羽が長い分ジェンツーペンギンの方が長いです。

共通する生態

コロニーを作らず、つがいが単独で繁殖する唯一のペンギンです。

マカロニペンギン属

属名の意味

属名はEudyptes(エウディプテス)で「優れた潜水者」という意味があります。

所属する種

マカロニペンギン、ロイヤルペンギン、キタイワトビペンギン、ミナミワトビペンギン、シュレーターペンギン、スネアーズペンギン、フィヨルドランドペンギンの7種(※2)が所属しています。

※2:キタイワトビペンギンとミナミイワトビペンギンは同種の亜種という考えや、マカロニペンギンとロイヤルペンギンは同種の亜種という考えもありますが、ここでは7種として扱います。

体の特徴

体の大きさは大型な種から小型な種まで差があり、赤い目と、頭に黄色い飾り羽を持ちます。飾り羽は長かったり短かったり、垂れていたり逆立っていたりなど、種によって形状が異なります。脚の色はピンク色です。

マカロニペンギン属のペンギン

共通する生態

卵は2つ産みますが、最初に産んだ卵は、産んですぐか、2つ目の卵からヒナが孵るタイミングで放棄されます。

ヒナはよく似ていて、頭から背中にかけて灰色がかった茶色、胸から腹にかけて白色の綿羽に覆われています。

フンボルトペンギン属

属名の意味

属名のSpheniscus(スフェニスクス)は「楔のような」という意味です。

所属する種

フンボルトペンギン、ガラパゴスペンギン、ケープペンギン、マゼランペンギンの4種が所属しています。

体の特徴

体の大きさは中型で、胸に1本か2本の黒いラインが通っています。お腹には黒色の斑点模様があり、個体ごとに模様は異なります。なお、斑点は換羽しても変化しません。また、顔にはピンク色の皮膚が露出した部分があり、種によってその面積は異なります。脚の色は黒色です。

フンボルトペンギン属のペンギン

共通する生態

温暖な地域に適応しており、マゼランペンギンを除き1年で複数回繁殖を行う可能性があります。(※3)卵は2つ産み、産まれたヒナは2羽とも巣立たせようとします。

特別な冷房設備は不要で、飼育が比較的容易なため、世界中の動物園や水族館で見ることができます。ただし、生息数が極端に少ないガラパゴスペンギンは例外です。

フンボルトペンギンとケープペンギンは交雑する可能性があるため、一般的にこの2種を両方とも飼育する動物園や水族館は少ないです。

※3:ガラパゴスペンギンは習性として通常年2回繁殖を行います。