コガタペンギン

世界最小のペンギンです。日本から野生のペンギンに見に行くならオーストラリアまでコガタペンギンに会いに行くのが最も容易です。

基本データ

■コガタペンギンの容姿■

コガタペンギンの写真
  • 和名:コガタペンギン(フェアリーペンギン)
  • 学名:Eudyptula minor(エウディプトゥラ ミノール)
  • 属:コガタペンギン属
  • 亜種:ハネジロペンギン
  • 体長:35~43cm
  • 体重:0.8~1.4kg
  • 寿命:6~20年
  • 推定生息数:120万羽
  • 平均遊泳速度:2~5km/h
  • 最深潜水記録:67m
  • 渡り:なし
  • 産卵数:2卵
  • 性成熟:3歳
  • 主なコロニー:オマルー、チャタム諸島、バンクス半島、フィリップ島、ペンギン島
  • 主な食べ物:魚類、イカ

1年間の生活スケジュール

詳しい内容については「繁殖と子育て」の章で説明します。

ペンギンカレンダー ペンギンカレンダー(スマホ用)

名前の由来

名前の「コガタ」は文字通り小型を指していて、ペンギンの中で最小の種であることに由来します。学名の「ミノール」も「小型の」という意味で小さいコガタペンギンにピッタリの名前です。

生息数の動向

多くの生息地は人間の居住地と重なっていますが、生息数は安定的に維持されています。営巣地の保護や、巣となる木箱の設置、ペンギンの保全に対する教育など、現地の保護活動により人間と共存ができているのです。

生息地

ニュージーランド全域とタスマン海を挟んだオーストラリア南部に分布しています。オーストラリア南西のペンギン島に暮らす個体群は、長年その他地域の個体群と隔離されているため、体が少し大きいと言われています。開発の進んだ市街地近くでも暮らしており、防波堤など人間の作った構造物をうまく利用して外敵から身を守っています。飼育環境への適応力も高く、多くの動物園で見ることができます。

■コガタペンギンの生息地■

コガタペンギンの生息地

ヒナ

ヒナは頭から背中にかけて茶色、胸から腹にかけて白色の綿羽に覆われています。

巣立ちを迎えた亜成鳥はくちばしが若干短い以外は、大人とほぼ同じ見た目で見分けることは困難です。

■ヒナの容姿(剥製)■

コガタペンギンのヒナの写真

Auckland Museum, CC 表示 4.0, https:/commons.wikimedia.orgimgimgclassificationwimgimgclassificationindex.php?curid=64953964による

潜水と採餌

体が小さく酸素を蓄える能力が低いため、平気潜水時間は35秒程度で18m未満の非常に浅い潜水を行います。潜水能力は低めですが、浅瀬に獲物が多い海で狩りを行うので問題ありません。

■泳ぎの様子■

コガタペンギンの泳ぎの様子

繁殖と子育て

コロニーへの帰還

定住性で年間を通してコロニーで暮らしています。9月頃の繁殖期になるとオスが先に繁殖場所に移動してメスを待ち、パートナーがいる個体はメスと合流、いない個体は求愛をします。つがいの決定権をもつのはメスであり、体重が重く、年長のオスを好む傾向にあります。なお、メスはオスの鳴き声を聞き分けて、体重や大きさ、ケンカの強さを知る手がかりにしていると考えられています。

つがいの絆

つがいの結びつきは維持される傾向が強いです。

営巣

巣は草の根が張った地面に、くちばしと足で穴を掘って作ります。巣は毎年同じものを利用し、つがいが揃うと夫婦で一ヶ月ほどかけて、草や葉を敷き詰めて念入りに手入れを行います。また、巣穴以外にも岩の下や建物の下など、遮蔽物がある場所なら何でも巣として利用します。保護団体が設置した木箱を利用する個体も多いです。

産卵と抱卵

メスは9~11月に2つの卵を2日空けて産みます。

卵は夫婦が交代して温めますが、最初の抱卵はオスの仕事です。体が小さいコガタペンギンは絶食が苦手なため、抱卵期間中も3日から長くて9日の採餌旅行を5~8回繰り返します。

孵化と保護期

30~40日ほどで卵が孵ると、ヒナは2週間ほど親の保護下で、天敵や体温の低下から守られて育ちます。

2週が経過し、親の保護期が過ぎて、両親が同時に採餌に出かけるようになってもクレイシは作りません。ヒナは単独で巣に残って親を待ち続けます。

巣立ち

ヒナは孵化後60日ほどで巣立ちます。ヒナの1年後の生存率は2割以下と非常に低いですが、初年を乗り越えた2年目の生存率は8割を超えます。

換羽

ヒナが巣立つ2~3月に16日ほどかけて換羽を行います。換羽により体重は400gほど現象し、これは体重の4割に相当します。

夜行性

コガタペンギンは最も原始的なペンギンと言われ、他のペンギンと異なり陸上では完全な夜行性です。朝日が登る前に海へ出かけ、夕方になると陸地に帰るため、日中のコロニーにコガタペンギンの姿はありません。

海へ出る際はコロニーのペンギンが一斉に移動を開始します。これほどの同調性をもったペンギンは他にいません。夕方に陸へ帰る際は非常に臆病で、巣にもどるまで何度も一時的な隠れ場所に潜り込み、周囲を警戒しなが休息をとります。