ロイヤルペンギン

ロイヤルペンギン唯一の繁殖地であるマックォーリー島は、マントルが隆起して海面に突き出た島で、このような島は世界で唯一であり世界自然遺産にも登録されている。

基本データ

■ロイヤルペンギンの容姿■

ロイヤルペンギンの写真

By Ellen Rykers - https://www.inaturalist.orgimgphotosimg28418673, CC BY 4.0, https:/commons.wikimedia.orgimgwimgindex.php?curid=137389226

  • 和名:ロイヤルペンギン
  • 学名:Eudyptes schlegeli(エウディプテス シュレーゲリ)
  • 属:マカロニペンギン属
  • 亜種:なし
  • 体長:70~75cm
  • 体重:4~6kg
  • 寿命:12年
  • 推定生息数:210万羽
  • 平均遊泳速度:5~7km/h
  • 最深潜水記録:226m
  • 渡り:4~9月
  • 産卵数:2卵
  • 性成熟:7~8歳
  • 主なコロニー:マックォーリー島
  • 主な食べ物:小魚、甲殻類

1年間の生活スケジュール

詳しい内容については「繁殖と子育て」の章で説明します。

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名前の由来

名前の「ロイヤル」は白い顔に金色の飾り羽である気品漂うからという説や、繁殖地を共にするキングペンギンと寄り添って歩く姿が王家を連想させたという説があります。学名の「シュリーゲレ」はオランダのライデン博物館館長の「ヘルマン・シュレーゲル」教授を記念して名付けられました。

生息数の動向

正確な状況は不明ですが安定的に維持されていると考えられています。

生息地

マックォーリー島の固有種です。冬には島を離れて160kmほど南方の南極環流へ向かいます。

■ロイヤルペンギンの生息地■

ロイヤルペンギンの生息地

■マックォーリー島のサイズ感■

マックォーリー島のサイズ感

ヒナ

ヒナは頭から背中にかけて濃い灰色、胸から腹にかけて白色の綿羽に覆われています。なお、ヒナの段階では近縁種のマカロニペンギンのヒナと見分けがつきません。

巣立ちを迎えた亜成鳥は顔に若干の黒みがあり、飾り羽も大人と比べ短いです。

潜水と採餌

浅い潜水を繰り返して採餌を行います。遊泳速度は平均して7kmほどです。海にいる間は常に潜水しているわけではなく、6割ほどの時間は海面に浮かんで休憩しています。

渡りの期間中は、南は南極近辺、北はタスマニア付近までの広範囲で目撃情報があります。

繁殖と子育て

コロニーへの帰還

9月下旬から10月上旬にオスが先にコロニーへ帰還し、昨年の巣の場所を目指します。メスの帰還はそれから1週間ほど遅れます。

■コロニーの様子■

ロイヤルペンギンのコロニーの様子

By M. Murphy - Own work, Public Domain, https:/commons.wikimedia.orgimgwimgindex.php?curid=1600932

つがいの絆

つがいの結びつきは維持される傾向が強く、多くのつがいが昨年と同じパートナーと繁殖を行います。

営巣

営巣地は浜辺の近くから斜面にかけて多く分布しており、海岸から1キロ以上離れた内陸に作ることもあります。巣作りはオスとメスが役割を分担します。オスは小石や草などの巣材を運び、メスは巣材を並べて巣を形作ります。オスは巣材集めに非常に熱心で、子育て中はもちろん、ヒナが巣立ってからも集め続ける個体もいます。

産卵と抱卵

メスは10月下旬に5日あけて2つの卵を産みます。1つ目の卵は100gほどなのに対し、2つ目の卵は150gほどで、5割ほど大きい傾向にあります。メスは、2つ目の卵が生まれる前に1つ目の卵を巣から放りだして、2つ目の卵から生まれたヒナのみを育てます。コロニーへの帰還から産卵までは絶食で過ごします。

産まれた卵を先に温めるのはメスの役割です。オスは1ヶ月の絶食を終えるため、2週間ほど採餌に出かけます。オスが帰ると抱卵を交代し、今度はメスが40日ほどの絶食を終えるため採餌に出かけます。メスは卵が孵化するタイミングに合わせて採餌から帰ります。

孵化と保護期

35日ほどで卵が孵ると、ヒナは3週間ほどオスの保護下で、天敵や体温の低下から守られて育ちます。この間オスは絶食状態です。メスは採餌へ出かけ、2~3日おきに帰ってヒナにエサを与えます。

クレイシ期

孵化後3週間ほど経つと、ヒナは親が抱けないほど成長し、以降40日ほどクレイシに加わります。ヒナへの給餌は引き続きメスが行い、多くの場合オスは子育てから抜けます。

巣立ち

ヒナは孵化後65日ほどで巣立ちます。ヒナの2年後の生存率は4割ほどと言われています。

ロイヤルペンギンの繁殖成功率は10組のつがいの内4組が1羽巣立たせる程度です。ただし、南極環流の状態によっては繁殖がほぼ壊滅となることもあります。

マカロニペンギンの食料は南極環流を回遊する魚に依存しています。南極環流は通常、繁殖地のマックォーリー島付近を流れますが、海水温の変動により島から遠ざかることがあります。そうなると親鳥は遠くまで時間を掛けて採餌に出かける必要があり、巣に戻るまでにヒナが餓死してしまうのです。

換羽

1月末にヒナが巣立つと5週間ほどかけて換羽前の採餌旅行に出かけます。換羽は3月頃から4週間ほどかけて行い、その間に体重は4割ほど減少します。

若鳥とケンカ

ロイヤルペンギンは若鳥の帰還が7~8年とペンギンの中で最長です。そのため、コロニー内の若鳥の数は非常に多い傾向にあります。一般的にマカロニペンギン属の若鳥は攻撃的で、巣を破壊したり、巣に侵入してメスを奪おうとします。つがいのオスはこれを排除する必要があるため、ロイヤルペンギンのコロニーでは至る所でケンカが絶えません。