キガシラペンギン
森の中で孤独に静かに暮らす非常に珍しいペンギンです。
基本データ
■キガシラペンギンの容姿■
By Bernard Spragg. NZ - https://www.flickr.comimgimgclassificationphotosimgimgclassificationvolvob12bimgimgclassification49467374496/, CC0, https:/commons.wikimedia.orgimgimgclassificationwimgimgclassificationindex.php?curid=87321251
- 和名:キガシラペンギン(キンメペンギン)
- 学名:Megadyptes antipodes(メガティプテス アンティポデス)
- 属:キガシラペンギン属
- 亜種:なし
- 体長:65~75cm
- 体重:5~5.5kg
- 寿命:9~11年
- 推定生息数:5000~6000羽
- 平均遊泳速度:データなし
- 最深潜水記録:128m
- 渡り:なし
- 産卵数:2卵
- 性成熟:3歳
- 主なコロニー:キャンベル島、オークランド諸島、スチュアート島、ニュージーランド南島の南部
- 主な食べ物:オーバルフィッシュ、ミナミアオトラギス、イカ
1年間の生活スケジュール
詳しい内容については「繁殖と子育て」の章で説明します。
名前の由来
名前の「キガシラ」は文字通り頭が黄色いことに由来します。学名の「アンティポデス」は対蹠地という意味です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、日本におけるブラジルのように地球上の正反対の位置を指す言葉です。キガシラペンギンの生息地がヨーロッパ地域の正反対に位置することから名付けられました。
生息数の動向
森林破壊による繁殖率低下により減少傾向にあります。推定生息数は5000~6000羽ですが、現在はさらに減少していると考えられています。
生息地
ニュージーランド南部と周辺の島々で広範囲に分布しています。他のペンギンと混じって暮らすことはなく、同種でも群れることはありません。人間に対して極度に警戒心が強く、飼育環境にも適応しないため、動物園では飼育されていません。
■キガシラペンギンの生息地■
ヒナ
全身を茶色の綿羽で覆われています。
巣立ちを迎えた亜成鳥は、頭の黄色い羽毛は生えておらず、アゴの羽毛も大人と異なり白色のため、成鳥と見分けることは容易です。
■ヒナの容姿■
By Steve from Bangkok, Thailand - Yellow Eyed PenguinUploaded by Snowmanradio, CC BY-SA 2.0, https:/commons.wikimedia.orgimgimgclassificationwimgimgclassificationindex.php?curid=12184647
潜水と採餌
日中に単独で採餌を行います。定住性で、生息地近海はエサも豊富なため、遠方まで泳ぐことは稀です。記録上の最長遊泳距離は12.9kmです。
繁殖と子育て
コロニーへの帰還
定住性で年間を通してコロニーで暮らしています。渡りを行わないため、繁殖開始の時期はあまり明確ではないですが、8~9月に求愛行動が活発になる調査結果が報告されています。
つがいの絆
つがいの結びつきは維持される傾向が強いです。
営巣
他のペンギンとは異なり、コロニーはつくらず、他の個体から数十メートル離れた場所で、単独で営巣します。巣は直射日光を避けられる低木の茂みに作られ、決して洞窟や巣穴は利用しません。巣がなわばりなのではなく、なわばりは巣の周辺地域である点も他のペンギンと異なる点です。巣自体に執着はなく、巣を引っ越すことも多々あります。そのため、オス同士は新しい巣を作るために、広いなわばりを巡って激しくケンカをします。
産卵と抱卵
メスは2つの卵を2日空けて産みます。
卵の孵化に要する40日ほどの間、両親は交代で卵を温めます。
孵化と保護期
40日ほどで卵が孵ると、ヒナは5~6週間ほど親の保護下で、天敵や体温の低下から守られて育ちます。この間、成長の早いヒナは単独で巣の周りを歩くようになりますが、親は常にヒナを見守っています。給餌は2羽のヒナに対して平等に行います。
6週が経過し、親の保護期が過ぎて、両親が同時に採餌に出かけるようになってもクレイシは作りません。日中、ヒナは巣から離れた場所まで出かけるようになりますが、両親がエサを運んでくれる夕方になると巣に帰ってきます。
巣立ち
ヒナは孵化後110日ほどで巣立ちます。卵から孵って巣立ちまでの期間は他のペンギンと比べて1ヶ月ほど長く、これよりも期間が長いのはエンペラーペンギンとキングペンギンのみです。また、他のペンギンと異なり、親が姿を消して巣立ちを促すのではなく、ヒナ自らが海岸へ向かって巣立ってゆきます。そのため、親は給餌で巣に戻った際に、ヒナの巣立ちを知るのです。ヒナの2年後の生存率は2~3割ほどと言われています。
換羽
他のペンギンのように換羽前に採餌旅行へ出かけることはありません。換羽時期が近づくと1日の採餌時間を延長して、換羽のためのエネルギーを蓄えます。この採餌延長期間は、その年の食糧事情によって異なりますが、1~6週間ほどです。中には子育て期間と採餌時延長期間が重なる個体もいます。そのような個体は、ヒナの巣立ちと換羽がほぼ同時に始まることもあります。
あとがき
この解説を作成する際、作者は「キガシラ」をよく「キガラシ」と打ち間違えていました。